天使の笑顔
番頭です。
小若と別れて、新幹線のホームのベンチに座っていました。
するとたくさん荷物を持ったご婦人が座りました。
番頭の左側。しばらくすると、お連れが見え、なにやら
自由席のほうに。
ふと、左側にブランド品のうなぎ弁当の袋二つ。
取り残されている。
忘れ物。
今しがたの新幹線に乗ったのかなぁ。
番頭、ベンチ左側に移動。
どなたにも気づかれていない。
どうしよう。こんなこと、この先だってありゃしない。
駅員さんもいない。
一つは、新幹線の中で。
所長は、断糖宣言だし。
残る一つは、冷凍庫か冷蔵庫。
でも、食べ物の恨みは怖い。
ここは、悪魔のように細心に。
ホームを歩いて、
先ほどのご婦人たちの不在確認。
そして、天使のように大胆に、お持ち帰り。
「ただいま!」
そして、所長に自慢する。
お弁当二つ持ちながら、「絶対に居ませんように。」と念じる。
・・・・居らっしゃいました。
番頭と同じ新幹線の自由席に、並んでいらっしゃいます。
勿論、天使の笑顔で、お届けしました。
お忘れ物。